防衛医科大学校

医師になるための専門学校

医師になりたいと考える方のほとんどは、大学の医学部へと進学することになると思いますが、選択肢は他にもあります。
これら以外にも医師免許取得のための勉強ができる教育機関が存在するのです。

そのひとつが防衛医科大学校です。
この学校でも医師免許を取得することが可能で、医師国家試験の合格率は現役の学生でも9割以上とかなり高めとなっています。
しかし、防衛医科大学校についてご存じないという方も多いでしょう。
では、どのような学校なのでしょうか。

名称から分かるように、防衛医科大学校は防衛省の一機関です。
そのため、入学すると特別職の国家公務員として扱われ、在学中でも学生手当として給与を得ることができます。
学生手当は月に11万円程度ですが、賞与も年に2回与えられます。
また、入学金や授業料も必要ないばかりか、食費や寮費もかからず、衣服も支給されるので金銭的な心配はありません。

ただし、その分生活リズムも厳格に定められています。
起床から授業、そして就寝まで一日のスケジュールが決まっており、規則正しい生活を送ることになるでしょう。
特に1~4年次までは土日以外は外出も禁止され、外泊も制限があります。
一般の大学生と比べると夏休みも短いので注意が必要です。

防衛医科大学校で何を学ぶのか

では、どのようなことを学べるのでしょうか。
まず、防衛医科大学の教育課程には進学課程、専門課程、訓練課程の3つがありますが、入学して最初に学ぶのは進学課程です。
これは他の大学における一般教養課程に類する教科で、人文系、社会系の科目や外国語科目、保健体育科目などが含まれます。

そして1年次の後半には、いよいよ医療に関する科目である専門課程を学ぶことができます。
専門課程では、臓器別などで構成された科目を学ぶことになるでしょう。
講義や実習では基礎医学と臨床医学を統合した形式を取り入れており、効率よく学ぶことができます。
4年次から6年次の間には病院実習も行われ、より実践的な教育を受けることが可能です。

最後は訓練課程についてです。
防衛省の機関だけに、様々な訓練もカリキュラムに含まれます。
例えば、自衛隊で課されるような徒歩教練や春季、夏季、冬季に分けて行われる部隊実習といった訓練などです。
この他にも、水泳やスキー、その他体育一般もカリキュラムに入っており、心身ともに鍛えることになるでしょう。

卒業後は幹部候補生学校で6週間学んだ後、幹部自衛官となります。
医師国家試験合格後は、他の医師と同様に研修医として2年間の臨床研修ならびに専門研修を行いますが、その合間には2年間の部隊勤務が課せられます。
その後も勤務は続き、少なくとも卒業後の9年間は自衛官として働く義務があるので注意しましょう。
なお、9年未満で自衛隊を離職してしまうと卒業までにかかった経費を支払う義務が生じます。

このように、防衛医科大学校では医療に関する知識を学ぶことができますが、他の大学の医学部とは様々な面で違いがあります。
したがって、単に医師になりたいと考えている方であれば、他の大学に進学した方が良いかもしれません。