受験に面接試験がある理由

医学部の受験科目には面接も含まれる

近年、理系の学部を志す方は増えています。
長引く不況により、専門的な知識や技能を身に付けることが就職に有利になると多くの学生が考えていることがその理由です。
このことは医学部についても例外ではありません。
医学部を志望する学生の中には、高収入や安定した雇用が得られることから医師を目指しているという方もいるでしょう。

ただ、こうした傾向とは裏腹に、医学部への進学は険しい道のりとなります。
医学部に合格するためには極めて高い学力が必要となるのです。
そのため、勉強漬けの毎日を送っているという学生も多いでしょう。

しかし、医学部で出される試験は学力を問うものばかりではありません。
私立大学はもとより、いまや国公立大学でも面接試験が課されることがほとんどです。
このことは、面接が苦手な方にとっては不安要素のひとつとなっているでしょう。
では、なぜ医学部で面接試験が必要となっているのでしょうか。

なぜ医学部には面接が課せられるのか

医師は医療に関するエキスパートですが、患者側はそうではありません。
ときには、患者が自分の感じている症状をうまく伝えることができないということもあります。
その場合は、医師がその症状を聞き出すしかありません。
そのため、医師にはコミュニケーション力が問われます。

また、患者の申告する症状はあくまで主観的なものであるため、客観的な事実と異なっていることもしばしばあります。
そこで、客観的な判断をするための分析力も医師には必要です。

医学部の試験に面接がある背景にはこれらのことがあります。
単に高い学力を持っているだけでは、医師としては不十分です。
高度な知力に加え、コミュニケーション力や分析力などを備えた人物でないと、良い医師にはなれません。
したがって、その人物が医師としての適性を持っているのかどうかを、面接を通して判断する必要があるのです。

最近では、人々の健康や医療に対する向き合い方も変化しています。
かつては、医療については医師に任せればよいという考え方が支配的でした。
しかしインフォームドコンセントやセカンドオピニオンといった言葉に代表されるように、現代では患者自らが積極的に健康維持に関わっていくことが求められています。

このことは医師の在り方にも変化をもたらしています。
以前のように医者側が一方的に判断するのではなく、患者側の意思を尊重しそれに則って治療を行うことが現代の医師の役目といえます。
それには、わかりやすい説明によって患者の理解を助け、そのうえで判断してもらうことが大切です。
そのため、医師には上記のような能力が以前よりも増して重要になっています。