研修医制度とは

免許取得後の修業期間

医師免許を取得すると、いよいよ医師として働くことが可能になります。
しかし、医師免許を取ることは出発点に立つ程度に過ぎません。
一人前となるためには、医療の現場で様々なことを学ばなくてはならないのです。
そのため、医師免許を取得した方を対象とした研修医制度が存在します。

医師法第十六条によれば、医師は大学の附属病院あるいは厚生労働大臣によって指定された病院で臨床研修を受けなくてはならないとしています。
これによって、医師免許取得者は研修医として一定期間勤務することが義務付けられたのです。
また、医師法によって定められているのは2年間ですが、その後も引き続き研修を受けることはでき、これを後期臨床研修と呼びます。
もちろんこれは義務ではありませんが、専門性の高い研修を行うことによって医師としてスキルアップすることができるでしょう。

研修医必修化の経緯と今後の課題

現行の研修医制度は平成12年に改正、そして4年後の16年に施行されたものです。
これ以前にも研修医制度は存在していましたが、努力規定でした。
このため、研修医という身分があやふやなものとなり、過酷な労働を強いられる方や給与の安さからアルバイトと兼務せざるを得ないという方も出てきました。
そして、平成10年には研修医が過労死するという事件が起こり、これらのことが要因となって研修医制度の必修化へと至ります。

ただ、現在の制度にも問題点がいくつかあり、議論されています。
例えば、医師不足に関する問題です。
平成16年に施行された研修医制度によって、医師免許を取得した後、研修医は出身大学に関係なく、自由に研修先の病院を決めることができるようになりました。
その結果、大都市の病院に研修医が集中し、地方における医師不足が決定的となったのです。

この他、研修医を受け入れる病院の指導の質に差があることなども問題となっています。
そのため、厚生労働省は医療関係者による検討会を開き、研修医制度の見直しについての検討を行っています。
これによって、地域医療研修の必修化や都道府県別に募集定員の上限を設けること、受入病院の研修の質を高めるために指定基準を強化することなど、現行の研修医制度の見直しの方向性が決定しました。
この他、産婦人科など診療科別にも医師不足が進行していることから、大病院などではこうした診療科の研修を義務付けることなども検討されています。

以上のように、現在の研修医制度は以前よりも良くなった部分もある一方で、改善すべき点も多々あります。
ただ、臨床研修は一人前の医師となるために重要な期間なのは間違いありません。
研修を通して実際の医療現場でしっかりと学び、良い医師になれるよう日々努力することが求められます。