研修医の現状

現行の研修医制度の問題点

医師国家試験に合格することで医師免許を取得できますが、その後は一定期間研修医として勤務することになります。
平成16年に施行された医師法の改正により、医師免許取得後は研修医として指定された病院で2年間働くことが義務付けられました。
医療の現場で実践的な知識や技術を身に付け、一人前の医師になってもらうためです。
また、以前の制度では研修医としての身分が定まっておらず、アルバイトと兼務しなくては生活できないようなケースもあるなど、研修制度として不十分であったことも改正の理由としてあります。

このように、医師として独立できるようにとの意図から施行された現行の研修医制度ですが、前の制度と同様に問題も現れてきています。
そのひとつが勤務の過酷さです。
医師国家試験に合格を果たして、せっかく医師としてのスタートラインに立てたものの、このことが原因となってドロップアウトしてしまうという方もなかにはいます。
では、研修医の仕事はどのようなものなのでしょうか。

研修医はハードワークをこなす必要がある

病院での勤務はハードなものとして知られています。
診療や回診といった日頃の業務もさることながら、夜間も当直勤務をする必要があるなど、医師は厳しい就労環境の中で勤務しなくてはなりません。
そのうえ休日や夜間であっても、患者の容体が急変すれば電話等で現場に指示をする必要も出てきます。
したがって、常に緊張感を持ち続けることになり、リラックスして休日を過ごすことも難しくなるでしょう。

こうした業務は長年勤務し続けている医師でも厳しいものですから、医師になりたての研修医には尚のこと辛く感じるはずです。
その証拠に、少なくない数の研修医が勤務の過酷さによって燃え尽き症候群と呼ばれる症状やうつ病等を発症しているというデータもあります。
ただでさえ、社会人として働く当初は不安やストレスなどから精神的に不安定な状態となりやすいものですが、それに加えてこのような労働を強いられるとすれば精神を病んでしまうのも無理はないでしょう。

この状態は、医師不足の加速している地方においてはさらに深刻となります。
過酷な業務を少ない医師で分担しなくてはならないからです。
地方における医師の少なさを憂い、強い熱意を持って医師となる方もいますが、こうした現状がそのような方の精神や肉体を蝕んでしまうこともあります。
そのため、医師不足は解決の難しい問題となっているのです。

臨床研修は医師としての出発点です。
しかしながら、その道は最初から厳しいものといえます。
よって、医師になりたいと考える方はこのような現状をしっかりと理解しておいた方が良いでしょう。