これから必要とされる医療業界の人材とは

これからの医療

さて、医療業界に転職を考えている人にとって気になるのは、「医療業界が今後どのように変化していくのか」ということではないでしょうか。
これまで説明してきたように、現在の医療業界は不況の日本にあっても他の業界に比べれば比較的元気な業界であり、転職求人も数多くあります。

しかし、これから10年後、20年後には医療業界の立場も違ってくるでしょうし、求められる人材も変わっていくだろうと予想されます。
その中で生き残っていくためには、どのような資質が求められるのでしょうか。
今後の医療業界について間違いなく言えることは、競争が今より激化するということでしょう。
これまでの医療業界、特に病院や高齢者施設などは一般企業に比べればあまり競争は激しくありませんでした。

 

人口の変化による経営難

医師の社会的地位は非常に高く、大きな総合病院でも、小さな個人経営の診療所でも、それなりの収入を稼ぐことができました。
しかし、これからは日本の人口も減っていくため、少ないパイの取り合いが行われるでしょう。
経営破綻に追い込まれる病院も増えていくと思われます。

では、医療業界はこのまま衰退していくのかというと、決してそんなことはありません。
実際、日本の人口は減少しているにもかかわらず、医療費は毎年およそ1兆円ずつ増加しています。
これは日本が高齢化社会となって、医療ニーズが高まっていることを示しています。

 

これからの流れを見る

つまり、これから日本が迎えるであろう「超高齢化社会」にしっかりと対応できる体制を取ることができれば、医療業界の厳しい荒波も乗り越えていけるということです。
たとえば、これから重要となってくる分野に終末医療があります。

超高齢化社会では高齢者の死というものがより身近な問題となってくるわけですが、現在でも自宅で息を引き取る方は14%に過ぎず、8割以上の高齢者は病院のベッドの上でなくなっています。
多くの高齢者が自宅など住み慣れた場所で終末期を迎えたいと思いっているにもかかわらず、その希望とはかけ離れた現実があるのです。

こういった問題を解決してあげられることができれば、多くの患者から支持を受けることができるでしょう。

また、新しい医療技術も次々に生まれてきています。
例えば高齢者によくある病気として、まぶたがたるみ、目が開けなくなる眼瞼下垂というものがあります。
以前はまぶたを切開して筋肉を縫合する手術を行っていましたが、現在は二重埋没法という新しい技術が生まれ、切開しなくても糸を通すだけで目が開けるようになりました。

もちろん、こういった問題の解決は簡単なことではなりませんし、一つの病院だけで解決できる問題でもありません。
問題の解決のためには、地域での医療連携体制の充実が必要となるでしょう。

 

様々な取り組み

具体的には、かかりつけの診療所と、専門的な治療ができる専門性の高い中核病院が連携して情報を共有し、患者に対して必要な治療を必要な病院で受けさせてあげる必要があります。
また、介護施設やリハビリセンターなどを上手に活用することで治療期間を短くして、医療費の負担を減らすといった取り組みも重要になります。

こういった地域医療体制を充実するためには、よりも高い専門性が求められたり、ITスキルが求められているのです。
ですから、医療業界への転職を考えているならば、こういった能力を全面的にアピールするのも良い方法ではないかと思います。