医局とは

医療

医療関係者の集まり

医療という現代人の生活に欠かせない分野から、多くの人をサポートするのが医師の仕事です。
医師になりたいと考える方は、このような点から誰かの役に立ちたいと思ったことが志望理由という場合も多いでしょう。
ただ、医師を目指している方々のこうした熱意とは裏腹に、医師の世界には理不尽とも思えるような部分もあります。 
ドラマ等でも度々描かれるように、病院内における医師間の関係性は強固な上下関係が定まっているのです。

こうした関係性は医局と呼ばれています。
医局は教授を頂点とした診療科ごとに分かれたピラミッド型の組織で、人事など重要事項の決定権を持っているのが特徴です。
ただ、この組織は非公式のものであるばかりか、ときにはその権力をめぐる争いが生じることもあるようです。
そして、このような争いをクローズアップした小説やそれを原作としたドラマが登場したことにより、医局は表舞台に出るようになりました。

もともと医局とは、医師の執務室や控室のことを指した言葉で、ここから派生して現在の組織を意味するようになりました。
この頂点は教授ですが、准教授や講師から、常勤医や非常勤医、果ては研修医や大学院生まで幅広い役職の医療関係者が在籍しています。
そのため、医師として働く以上はこの医局に在籍することになるでしょう。

医局のメリットとデメリット

このように、日本の医療現場に大きな影響を及ぼしている医局ですが、近年では変化した部分もあります。
かつては医師免許を取得した後、医局に入って研修を行うのが一般的でした。
しかし、平成16年に施行された新しい研修医制度によって臨床研修が必修化されたとともに、「スーパーローテート方式」と呼ばれる研修方式が採用され、医局に所属しなくとも研修を行うことができるようになったのです。

ただ、医局の存在は依然として強大なため、現実としては医局に在籍せざるを得ないでしょう。
医局に入らないということは孤立無援の状況でいることを意味するからです。
特に若い医師は実力も人脈もない状態なので、こうした状況下では何もできません。

また、医局については否定的な意見が多くありますが、必ずしもデメリットばかりではありません。
医局による医師の派遣が、近年見られるような医師不足を防いできたという側面もあります。
しかしながら、上記の「スーパーローテート方式」の採用や研修医の希望を尊重して研修先を決める「マッチング制度」の導入により、地域や診療科ごとの医師数に格差が生じました。

医局は問題点を含んでいる組織といえるでしょう。
しかし、医局制度が全盛の時代では現代のような不均衡を生み出さなかったという点も事実です。
いずれにせよ、医局制度が残っている以上はそこに在籍することになりますし、その是非を含め、医師として働く限りは今後も向き合っていくことになるでしょう。